空き缶や1Lペール缶サイズで自作する廃油ストーブにおいて、送風機ブロアーファンの選定が最も重要であることが、実際の使用を通じてはっきり分かりました。

風量が弱いと不完全燃焼となり、黒煙や煙が発生してしまいます。逆に、風量が十分であれば、青い炎による完全燃焼も容易に実現できます。

つまり、送風機ブロアーファンの風量が強ければ、誰でも安定した青い炎の廃油ストーブを作ることが可能なのです。

この記事では、USB給電の5V送風機ブロアーファンと、AC100V~240V対応のスピードレギュレーターを接続した12V送風機ブロアーファンを比較し、空き缶・1Lペール缶サイズの自作廃油ストーブに最適な選択肢をご紹介します。

5V・12V送風機ブロアーファンのサイズと風量比較

サイズ比較

5V・12V送風機ブロアーファンの表側写真

5Vと12Vの送風機ブロアーファンでは、サイズに明確な違いがあります。

USBタイプの5V送風機ブロアーファンは、約7.5cm×7.5cm×3cm(重量:約66g)。

一方、12V送風機ブロアーファン(AC100V~240V対応のスピードレギュレーター接続タイプ)は、約12cm×12cm×3.3cm(重量:約241g)と、一回り以上大きくなります。

このサイズ差からも、12V送風機ブロアーファンの方が風量に余裕がありそうだと感じるのではないでしょうか。

※どちらもプラスチック延長管が付属しますが、上記サイズは取り外した状態での寸法です。

スペック比較

5V・12V送風機ブロアーファンの裏側写真
項目5V USBタイプ12V(AC100V対応)タイプ
入力電源USB 5V / 2AAC100V〜240V(DC12V変換)
回転数(RPM)約2300rpm約2700rpm
サイズ(本体)約7.5cm×7.5cm×3cm約12cm×12cm×3.3cm
風量(CFM)不明(※体感的に弱い)約35.79 CFM(強め)
材質プラスチックプラスチック
冷却方式空冷空冷
付属品延長管あり(取り外し可)延長管あり(取り外し可)
AC100V~240V対応のスピードレギュレーター

USB 5V送風機ブロアーファンの電圧・電流測定結果

USB 5V送風機ブロアーファン通常動作テスト

USB 5V送風機ブロアーファンをモバイルバッテリーに接続し、USB電圧電流テスターでテストした結果、電圧は4.97V、電流は0.26Aという数値が得られました。

このときの消費電力は約1.3W程度で、カタログ上の「5V2A(最大10W)」に比べてかなり控えめな動作となっています。

風量も弱く、この電力では、廃油ストーブの燃焼に必要な空気供給が十分とは言えず、黒煙や不完全燃焼の原因になる可能性が高いと感じました。

USB昇降圧コンバータで風量を強化|5V送風機のテスト結果

USB 5V送風機ブロアーファンを昇降圧コンバータでテスト

USB 5V送風機に昇降圧コンバータを接続して風量を強化したところ、電圧は4.93V、電流は1.13Aという測定結果となりました。

このとき、黒煙の発生はなく、燃焼自体は可能でしたが、青い炎による完全燃焼には力不足で、安定して得るのは難しいと感じました。

さらに、昇降圧コンバータを使用した状態では、送風機が途中で停止する現象も確認。

常に安定した風が必要な自作廃油ストーブにおいては、この構成は実用的とは言えないというのが正直なところです。

12V送風機ブロアーファンの電圧・電流測定結果

12V送風機ブロアーファンをコンセントから給電写真

12V送風機ブロアーファンに、AC100V~240V対応のスピードレギュレーターを接続し、コンセントから給電して使用しました。

電圧・電流の測定は、USB電圧電流テスターでは対応できないため行っていません。

しかし、1Lペール缶で自作した廃油ストーブに実際に使用したところ、風量コントローラーを中間から2メモリほど回した位置で、青い炎による完全燃焼を確認できました。

この送風機は、1Lペール缶サイズには十分な風量があり、もう少し大きめの空き缶でも問題なく使える性能だと感じています。

昇圧USBケーブルで12V送風機を動作テスト|モバイルバッテリーでの検証結果

12V送風機ブロアーファンを昇圧USBケーブルに接続

AC100V~240V対応のスピードレギュレーターを取り外し、5V→12V昇圧変換USBケーブルを使用することで、モバイルバッテリーから12V送風機ブロアーファンを動作させることが可能です。

5V→12V昇圧変換USBケーブルに接続してのテスト結果

昇圧USBケーブルで12V送風機を動作させたところ、電圧は4.92V、電流は1.90Aを記録し、風量も強く、自作廃油ストーブのブロアーファンとしては十分な性能が確認できました。

ただし、風量調節ができないため、風が強すぎて点火時の使用には不向きです。

さらに、しばらく電源を入れたままにしておくと、電圧が不安定になり、風量が強弱を繰り返す現象が発生しました。

このため、常時安定した風量が求められる廃油ストーブには適していないというのが現場での結論です。

USB昇圧ケーブル+コンバータ構成で12V送風機をテスト結果

USB昇圧ケーブル+コンバータ接続によるテスト結果

5V→12V昇圧変換USBケーブルのみで12V送風機ブロアーファンを動作させたところ、風量調節ができないため、さらにUSB昇降圧コンバータを接続してテストを行いました。

その結果、電圧は4.95V、電流は1.00Aを記録。

風量の調節はかろうじて可能でしたが、電圧が不安定になり、風量が強弱を繰り返す現象が発生しました。

※記載している電圧・電流はすべておおよその値です。動作中は電圧・電流が変動しており、使用したテスターにも誤差がある可能性があります。また、USB 5V送風機ブロアーファンには、より風量の強い製品や、USB昇降圧コンバータ・5V→12V昇圧変換USBケーブルを使用することで、安定動作する構成もあるかもしれません。ここでのテスト結果は、私が実際に所持・使用した機材によるものです。

送風機ブロアーファン動作テスト動画

USBタイプの5V送風機ブロアーファンと、12V送風機ブロアーファン(AC100V~240V対応のスピードレギュレーター接続タイプ)の動作テスト動画を撮影しました。風量の参考として、ティッシュペーパーを使って風の強さが分かるようにしています。どちらも風量は「強」の状態で撮影しています。

USBタイプの5V送風機ブロアーファンの風量動画です。

12V送風機ブロアーファン(AC100V~240V対応のスピードレギュレーター接続タイプ)の風量動画です。

キャンプで自作廃油ストーブを使うなら12V送風機ブロアーファンが最適

私もソロキャンプで自作した廃油ストーブを使いたいと考えており、送風機ブロアーファンは、5Vタイプよりも12Vタイプの方が風量が強く、青い炎による完全燃焼が可能です。

ただし、12Vタイプはモバイルバッテリーの5V出力では動作せず、コンセント給電が必要になるため、100V電源が使えるモバイルバッテリーやポータブル電源での使用が前提となります。

安定して自作廃油ストーブを使いたいなら、12V送風機ブロアーファンが最適だと感じています。

以上です。